私の好きな近代短歌(242)

せまりいる危機はつぶさに言挙(ことあ)げんつとめをもちて院に入りゆく   岩間正男  迫っている生活の危機を詳しく追求する務めを持って、参議院に入っていく。  正男の労働組合運動の出発点は、民主教育の建設と、児童たちの生活向上だったので、六・三制教育の充実のため、校舎の建設や学校給食の実施、軍国主義教育を批判し、平和民主教育の前進などに精力的に活動する。また、児童たちの飢餓を救うため、学校給食の実施拡大を要求して奮闘する。国会内の活動と国会外の大衆運動を結びつける必要を感じ、無所属から共産党議員団に属するようになる。  参議院表札新らしく書き替えて木の香におえる朝を入り来つ  議会とプロレタリヤを描きし画が世の視聴をあつめたることありき

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万葉集全釈(478)

右の三首は、二月三日にに作った歌である。 四七八 かけまくも あやに恐(かしこ)し わが大君 皇子(みこ)の命(みこと) もののふの 八十伴(やそとも)の男(を)を 召し集(つど)へ あどもひたまひ 朝狩(あさが)りに 鹿猪(しし)踏み起こし 夕狩(ゆふが)りに 鶏雉(とり)踏み立て 大御馬(おほみま)の 口抑(くちおさ)へとめ 御心(みこころ)を 見(め)し明(あき)らめし 活道山(いくぢやま) 木立の茂(しげ)に 咲く花も 移ろひにけり 世の中は かくのみならし ますらをの 心振り起こし 剣太刀(つるぎたち) 腰に取り佩(は)き 梓弓(あづさゆみ) 靫(ゆき)取り負ひて 天地(あめつち)と いや遠長(とほなが)に 万代(よろづよ)に かくしもがもと 頼(たの)めりし 皇子(みこ)の御門(みかど)の 五月蝿(さばへ)なす 騒(さわ)く舎人(とねり)は 白たへに 衣(ころも)取り着て 常なりし 笑(え)まひ振舞ひ いや日異(ひけ)に 変(か)はらふ見れば 悲しきろかも 心に掛けて思うのも大変恐れ多いことだが、我が大君の安積皇子が、大勢の男たちを召し集められ朝の狩りに鹿や猪を踏み起こし、夕べの狩りに鳥たちを踏み立たせ、愛馬の口を抑え、辺りを眺めてお心を明るくされた活道山の木立の茂みに咲く花も散ってしまった。世の中はこんなに無常なものらしい。勇ましい心を振り起こし、太刀を腰に差し、弓と矢入れを背負い、天地を永遠に治めて行かれると頼みにしていた皇子の宮殿に、にぎやかに騒ぐ家臣たちは、白い喪服を着…

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「首藤隆司の童謡・唱歌」から「北帰行」

燕三条FMラジオハート番組「首藤隆司の童謡・唱歌」 バリトン独唱「首藤隆司」 第483回(2018年11月8日) 首藤隆司の童謡・唱歌  こんにちは首藤隆司です。 寒くなってくると、なぜか日本人は北の地方を思います。歌謡曲も、統計を取ったわけではありませんが、北の方を歌ったものが多いようです。日本人のルーツを探る研究が進んでいます。混血民族で、先祖は北からも南からもやってきたようですが、北方系の先祖の遺伝子が我々の中を流れていて、北を懐かしむのかも知れません。今日は「北帰行」を歌いましょう。この曲の作詞者、作曲者は長い間分かりませんでした。1960年(昭和35年)ごろ、歌声喫茶で歌われ始め、小林旭が映画「渡り鳥シリーズ」で歌ってヒットしました。そして作詞、作曲者探しが始まり、当時日本が中国に創設した旧制旅順高校の寮歌だということが分かりました。当時学生で、恋愛事件を起こして退学処分になった宇田 博が1941年(昭和16年)に作詞、作曲したものでした。

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万葉集全釈(477)

四七七 あしひきの山さへ光り咲く花の散りゆくごときわが大君(おほきみ)かも 山までが光り輝くように咲いた花が、散っていくように亡くなってしまったわが皇子だったなあ。 あしひきの=山に係る枕詞 かも=詠嘆~だなあ

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私の好きな近代短歌(241)

迫りくる飢餓のひとみは思わめや緋の絨毯を踏みゆくときに   岩間正男  食糧に飢えた人々の瞳が迫ってくるのを感じないだろうか、国会の赤い絨毯を踏んでいく時に  一九四七(昭和二二)年四月、戦後初の参議院選挙が行われる。教職員組合は、労働運動だけでは要求が前進しないことを体験し、代表を国会に議員として送り込む必要を感じる。静養中の正男はその気がなかったが、まわりの強い要請を断り切れず、出馬を決意する。一旦決意すると正男は猛烈な全国遊説を始める。往復の列車の中でも演説をして拍手を得る。そして見事当選する。  清(すが)若きひとつの願い持ちつぎて世の暁に立ちなんわれか  その願い遂げよとわれを選びたる二十五万のわがはらからよ

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万葉集全釈(476)

反歌 四七六 わが大君(おほきみ)天(あめ)知らさむと思はねばおほそにそ見ける和束杣山(わづかそまやま) わが皇子が天を治められるとは思っていなかったので、いい加減な気持ちで和束杣山を見ていたなあ。 おほそに=いい加減に 中途半端に 杣山=木を切り出す山

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首藤隆司の童謡・唱歌「鉄道唱歌」

燕三条FMラジオハート番組「首藤隆司の童謡・唱歌」バリトン独唱 首藤隆司 第480回(2018年9月27日) 首藤隆司の童謡・唱歌  こんにちは首藤隆司です。  夏が終わり、季候がよくなると、旅の季節ですね。どこかへお出かけの計画はおありですか。今は、バス旅行が増えていますが、遠くへ行くとなるとやはり鉄道でしょう。今日は「鉄道唱歌」を歌いましょう。作詩は大和田建樹、作曲は多 梅稚で、1900年(明治33年)「地理教育鉄道唱歌(1)」として東海道編が出版されると全国に広まりました。当時は66番神戸までが作られましたが、その後、どんどん歌詞は継ぎ足され、信越線の歌も作られています。今日は10番横須賀までを歌ってみますが、時間切れになるかも知れません。。

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職場の教養から「帰省」

燕三条FMラジオハート番組「職場の教養」から「帰省」朗読 首藤隆司 画面をクリックし、もう一度クリックすれば拡大します。

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私の好きな近代短歌(240)

いのち生きて峡のいで湯につかるにも身に沁みて思うたたかいのさま    岩間正男  連日の激務に疲れ果てたが命は存え、山の温泉に静養しているが、あの激しかった闘いの様子を身に沁みて思い出している。  二・一スト準備のため不眠不休の活動が続き、体重は八キロ減った。一月三〇日朝、正男は過労で立てなくなった。青年行動隊の担架に担がれて闘争本部に入り、担架に寝たまま指示をする状態だった。ストは、マッカーサーの禁止命令で急転直下中止され、正男は温泉で湯治をして健康を取り戻す。  春めきてひかりもり上がる風空をかがやきしるし甲斐駒の雪  革命の線いくばくか進みしとかえりみるときうろたえており  信念に生くるというは迫りいるかかる厳しき現実を見ず

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万葉集全釈(475)

天平十六年の春二月安積皇子(あさかのみこ)が亡くなられた時に、内舎人大伴宿祢家持(うちとねりおほとものやかもち)が作った歌六首 四七五 かけまくも あやに恐(かしこ)し 言はまくも ゆゆしきかも わが大君(おほきみ) 皇子(みこ)の命(みこと) 万代(よろづよ)に めしたまはまし 大日本(おほやまと) 久迩(くに)の都は うちなびく 春さりぬれば 山辺には 花咲きををり 川瀬には 鮎子さ走り いや日異(ひけ)に 栄(さか)ゆる時に およづれの たはこととかも 白たへに 舎人(とねり)よそひて 和束山(わづかやま) 御輿(みこし)立たして ひさかたの 天(あめ)知らしぬれ こいまろび ひづち泣けども せむすべもなし 口に言うのも恐れ多いことだが、我が君の安積皇子が長く治められるはずだった大日本の久迩の都は、春になると山辺には花が咲き、川瀬には鮎が泳ぎ、日増しに栄える時、人をたぶらかすふざけた言葉とでもいうのだろうか、舎人たちが喪服の白装束になって和束山へ御輿を出発させて、天を治めに行かれたので、地面に倒れ伏し、涙でぐしょぐしょに泣いたけれど、どうしようもない。 かけまくも=口に出した言うのも あやに=言いようもなく かしこし=恐れ多い 言はまくも=口に出して言うのも ゆゆし=恐れ多い 万代に=永久に めしたまはす=お治めになる うちなびく=横になびく いやひけに=日増しに およづれ=人をたぶらかす言葉 たはこと=ふざけた言葉 ひさかたの=天に関係する言葉の枕詞 こいまろび=伏し転び …

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首藤隆司の童謡・唱歌「夕焼小焼」

燕三条FMラジオハート番組「首藤隆司の童謡・唱歌」バリトン独唱 首藤隆司 第479回(2018年9月13日) 首藤隆司の童謡・唱歌  こんにちは首藤隆司です。  夏も終わりに近付いて、夕焼けが美しい時期になってきました。真っ赤な夕焼けを見ていると、なぜか子どもの頃を思い出しますね。今日はを歌いましょう。作詞は1919年(大正8年)に童謡詩人の中村雨紅が書き、1923年(大正12年)に草川 信が曲を付けました。草川は長野出身で、善光寺の鐘の音をイメージしながら作曲したそうです。中村雨紅の故郷、東京都八王子の宝生寺に詩碑が建てられています。

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(239)私の好きな近代短歌

鈴懸の枝のみのこずえ仰ぐときわれに成し遂げぬ希(ねが)いあるなり    岩間正男  鈴懸の枝だけの梢を仰ぎ見るとき、私には成し遂げていない望みがあるのだ。  一九四七(昭和二二)年二月一日、日本の歴史始まって初めてのゼネスト決行が着々と準備されていたが、占領軍総司令官マッカーサーの命令で禁止されてしまった。その後、労働運動に弾圧と分裂の攻撃がかけられた。正男にとって、残念な思いとともに、様々の反省を胸に刻む。例えば、組合運動がまだ国民的な支持を得ていなかったことなど。  二月の尽きなんとしてしずかなる月のひかりは庭雪てらす  過ぎにけるたたかいのさまはかく言いて君がひとみにうるむものを見ぬ  血肉のつながりにありてたたかえりこの五つ月をたたかい抜きぬ

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万葉集全釈(474)

四七四 昔こそ外(よそ)にも見しか我妹子(わぎもこ)が奥(おく)つ城(き)と今愛(は)しき佐保山 昔は関係ないものと見ていたが、我が妻のお墓となった今は佐保山が愛おしい。

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早起きは3文の得

早朝ウォーキングをすると、時にはこんな天空のショーが見られます。ザリガニとも友だちになれます。

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