私の好きな現代短歌(163)

梨の実の二十世紀といふあはれわが余生さへそのうちにあり   佐藤佐太郎
 梨の実に、二十世紀というのがある。私の残りの命も、二十世紀の中にあると思うと感慨を催す。

 一九七九(昭和五四)年、佐太郎七十歳の作。二十世紀はまだ二十一年残っている。佐太郎はとてもそれまで生きられるとは思えなかった。今なら百歳まで生きることも不可能ではないが、当時の平均寿命から考えれば当然のことだった。二十世紀梨は,一八九五(明治二八)年、千葉県松戸で偶然発見された梨の新種で、間もなく二十世紀になるというので、そう命名された。
 珈琲(コオヒー)を活力としてのむときに寂しく匙の鳴る音を聞く
 葉のさわぐ槻(つき)の木の下かへりくるゆふべの風は露をおびたり


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