私の好きな現代短歌(189)

見る力衰へてゆくゆふぐれの路傍の席をたちて帰らん    佐藤佐太郎
 視力の衰えていく夕暮れ、道ばたのベンチから立ち上がって、帰ろう。

 歳をとると、眼の水晶体が濁って、白内障になる。夕方あたりが薄暗くなると物が見えにくくなる。
 一九八五(昭和六〇)年、佐太郎は七十六歳。次第に活動力は衰え、この年は入門書「短歌を作るこころ」(角川書店)を出したぐらいのものだった。歌の中にも老いの語が増えている。
 黄の花のかたまりて散る木犀の香も年老いてやうやくうとし
 世にうとくわがゐる時に何がなし戦時下のごとき不安のきざす
 睡眠の薬をのみてさめしのちありとしもなしこの老身は



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック