私の好きな現代短歌(139)

アンコール・ワットの濠にほてい葵の花うごかして水牛沈む   佐藤佐太郎
 アンコール・ワットの寺院の濠に、ホテイアオイの花が群れ咲いているのを押し分けるようにして、水牛が体を沈めていく。

 一九六九(昭和四十四)年には、カンボジアを旅し、アンコール・ワットを訪ねている。十二世紀前半に砂岩を積み上げて建てられたヒンズー教の壮大な寺院で、まわりが幅百九十メートルの巨大な水濠で囲まれている。
 バイヨンの石塔の群(むれ)山のごとく回廊のうへに見えて日に照る
 あつき空めぐりとぶ九官鳥のむれ塔のいただきにとどまりて鳴く
 崩壊のあとの石塊(いしくれ)にしばし立つ虚しきものは静かさに似る
 わがこころしきりに虚し目のまへに木の根動かず石も動かず


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