私の好きな近代短歌(60)

地(つち)ふめど草鞋(わらぢ)声なし山ざくら咲きなむとする山の静けさ  若山牧水

 草鞋履きで山道を歩いているが、足音がしない。山桜が今咲こうとしている山の静かなことよ。

 牧水といえば、旅と酒と桜の歌人ということになる。彼の旅好きは、生来の詩心、漂泊の想いからなのか、小枝子への苦い失恋によるものなのか、とにかく全国をよく歩き回っている。妻の喜志子が、「汝が夫は家にはおくな旅にあらば命光ると人の言へども」という歌を詠んでいるほどである。
 牧水は草鞋に脚絆、マントをまとって一人で山道を踏破するような旅をした。
 自分の足音も聞こえないほど静まり返った山中で、山桜が咲き始めているのを見つける。頭の中は、神聖、清浄な気に満たされたことだろう。


この記事へのコメント

2018年05月05日 06:57
Hi there mates, how is all, and what you desire to say on the
topic of this article, in my view its in fact remarkable in support of me.

この記事へのトラックバック